公認会計士のキャリアパスとして、監査法人からコンサルティングファームやFASへ進む道は王道と言えます。しかし、そこから一歩踏み出し、事業会社の最前線で唯一無二のポジションを築いているのが、株式会社movの取締役CFO、諸見里さんです。有限責任監査法人トーマツでの、監査/IPO支援/M&Aアドバイザリー実務、株式会社Cygames(以下、Cygames)での経営企画/財務経理実務、そしてスタートアップmovでの圧倒的な成果。これまでのキャリアの変遷と、バックグラウンドに磨きをかける「学習し続け、自身をレベルアップさせるスタンス」を伺いました。「会計士のプライド」を一度捨てて得た、現場の解像度—諸見里さんは早稲田大学在学中に会計士試験に合格し、新卒で有限責任監査法人トーマツのIPO支援事業部に入られました。色々と選択肢があったかと思うのですが、そこからCygamesという事業会社へ飛び込んだのは、かなり思い切った決断だったのではないでしょうか?mov 諸見里(以下、諸見里): 当時は「エンタメ業界で活躍したい」という漠然とした思いがあったのと、知人の紹介というご縁もありました。CFOという目標から逆算したとき、「目標となるCFOの下で、実務経験を早期に積みたい」という思いがあったのも大きいです。—実際にCygamesに入ってみて、いかがでしたか?諸見里: 正直、最初はものすごく大変でした(笑)。財務経理や経営企画実務の中にも、泥臭い業務がたくさんあって。いわゆる「何でも屋」としての仕事の連続でした。今の自分が貢献できる役割を果たすために、まずは徹底的に現場の「実務」と向き合ったことが、その状況から飛躍した機会になり、今の私の最大の武器になっています。—その気づきは、以前書かれたnote(今までのキャリアについて)でも大きな反響を呼んでいましたね。諸見里: はい。事業会社で価値を出すには、まず現場がどう動いているかを理解し、実務で結果を出して、現場の方々からの信頼を得ることが不可欠なんです。その土台があったからこそ、後の経営企画業務でも、血の通った数字の管理ができるようになりました。経営陣からの信頼が、苦しい局面を突破する力になった—その後、28歳でmovへ入社されます。当時はまだシリーズA調達前で、組織としても未完成な状態でした。なぜ、あえてそのタイミングのmovを選んだのでしょうか?諸見里: 当時の活動を振り返ると、色々と吟味した上でほぼ方向性は決まっていたんです。その上で、相馬さんから「諸見里さんの志向にフィットする、お薦めの企業がある」とmovを強くご紹介いただきました。もうすでに転職先を決めていたので一度は断ったものの、それでもとのことだったのでお話を伺いに行ったのですが、面談・面接を通してお薦めいただいた理由を実感しました。movに決めたのは事業の魅力も当然ながら、代表取締役の渡邊と現専務取締役の菊地という二人の経営陣に惹かれたのが一番の理由です。彼らは、コーポレート部門(当時は管理部門)を「単なる管理組織」ではなく「事業を加速させるパートナー」として見てくれていました。入社前から「結果を出せるのであれば、諸見里さんに任せるから、強い組織を作って欲しい」といわれていました。—実際、入社直後からカオスな状況だったと伺っています。諸見里: 入社してすぐに資金調達(シリーズA)が動き出し、並行してオフィス移転、経営企画、財務経理、法務知財、HRなどの基盤作りを一人でやらなければなりませんでした。肉体的にも精神的にもハードな時期はありましたが、それを乗り越えられたのは、経営陣が私を信じ切って「任せてくれた」からです。—「任せる」と言いつつ口を出したくなる経営者も多い中、movのお二人は違ったと。諸見里: はい。彼らは私の専門性を尊重し、できる限り任せてくれました。その信頼に応えたいという思いが、苦境を突破する原動力になりました。経営陣の間に「背中を預け合える関係性」があること。これが、スタートアップがカオスを乗り越えるための必須条件だと痛感しました。「兄弟のキャリア」まで支援する面倒見の良さが、最強のチームを作る—諸見里さんのもう一つの際立った強みは、「チーム組成能力」だと思います。入社わずか1ヶ月で、トーマツ時代の後輩(現コーポレート部マネージャーの武野さん)を採用していますね。そのエピソードも少し驚きました。諸見里: そうですね。スタートアップの初期において、コーポレートの基盤を最速で整えるためには、絶対的な信頼を置ける「仲間」が必要だと思ったんです。この点に関しても、「コスト的に公認会計士二人はこのフェーズで不要でしょう」と考える経営陣の方はいらっしゃるかと思うのですが、その点も私が言うならということで任せてくれたのは今考えると大きかったです。—「諸見里さんは本当に面倒見が良い」と聞いています。ご自身の弟さんのキャリア相談も熱心に受けられているとか。諸見里: はい、そうです(笑)。弟に限らず、後輩や周りのメンバーに対して「この人はどうすればもっと輝けるか」「数年後にどんなキャリアを築いていたいか」を考えるのが、性分として好きなんです。武野を誘った時も、単なる「人手不足の解消」ではなく、「movという環境が彼にとっても最高のキャリアアップになる」と確信していたからこそ、本気で口説きました。—その「相手の成功を本気で願う姿勢」があるからこそ、優秀な人材が諸見里さんの元に集まってくるのですね。諸見里: movのコーポレート本部に所属していただいたからには、専門性などを身に着けて、どこでも重宝される人材へ成長できるような環境を提供したいと心から思っています。チームの中に「お互いの成功を確信し合える関係」がある。これが、movのコーポレート本部が少数精鋭で高いパフォーマンスを出せている秘訣だと思います。会計士がスタートアップで「生きる道」をどう見つけるか—これまでの歩みを振り返って、会計士という資格を持ちながらスタートアップで活躍するために、最も必要なことは何だと考えますか?諸見里: 一番は「学習し続ける姿勢」を止めないこと。そして、資格という鎧を脱いで、一人のビジネスパーソンとして事業に向き合うことだと思います。会計士の強みである「信用力」と「論理的思考力」をベースにしつつ、会計士としては専門領域外である、HR、広報、法務知財などの領域でも、事業を伸ばすために必要なことは何でも吸収して実行する。その泥臭い積み重ねの先に、経営陣、CFOとしての成長があると考えています。—諸見里さんの「学習し続け、背中を見せる」というスタンス(詳細はmovの採用note参照)は、これから挑戦しようとする若手にとって大きな指針になります。諸見里: CFOの仕事は、正直言って非常に難しい場面が多くあります。日々カオスですし、責任の重さに押しつぶされそうになることもあります。でも、自分の意思決定がダイレクトに会社の成長に繋がり、世界を変えていく手応えを感じられる。この「生きている実感」は、他では決して味わえません。最後に諸見里さんと共に「日本のポテンシャルを最大化する」という使命に共感し、もしあなたが少しでもこの環境に興味を持っていただけたなら、ぜひ一度カジュアルにお話ししてみませんか。あなたのエントリーを心よりお待ちしています。・mov社の採用情報はこちら!※この記事内容は全てインタビュー当時のものです。インタビュー後記:専門性に安住しない。未開拓の地に飛び込む諸見里さんの「挑戦と学習をし続ける哲学」今回のインタビューを通じて最も印象的だったのは、諸見里さんの「人間味」と「プロフェッショナル」の絶妙なバランスです。会計士という冷静にロジックを扱う立場でありながら、その根底には「弟や後輩のキャリアを本気で考える」という温かい眼差しがあります。彼が経営陣からコーポレート本部の組織作りを託され、短期間で最強のチームを作り上げることができたのは、現場の声を汲み取る謙虚さと、自己研鑽を怠らないストイックな人柄が、周囲の信頼を集めたからでしょう。専門性を武器にしながらも、それに安住せず、常に未開拓の地へ飛び込み続ける。そんな彼の歩みは、キャリアを考える全ての方にとって、非常に参考になると感じます。