スタートアップ×コーポレート転職Playbook
スタートアップ×コーポレート転職
Playbook
「転職か、現職に残るか」をどう判断する?後悔しないためのキャリア意思決定の考え方・バックオフィス人材の観点は?
2025.07.28
転職を考えるとき、多くの方が悩むのが「本当に転職するべきか、それとも現職に残るべきか」という判断です。重要なのは、単に「今の会社が嫌か」「新しい会社が魅力的か」といった感情だけで判断しないことです。
まず整理したいのは、「今感じている課題は、自分の働きかけによって変えられるものなのか。それとも、自分では変えにくい構造的な問題なのか」という点です。そのうえで、現職に残る場合にも、転職する場合にも、自分なりの明確な理由を持つことが大切です。
1. まずは「自分で変えられること」と「変えにくいこと」を分ける
現職に対する不満や課題には、自分自身の行動によって改善できるものと、個人では変えることが難しいものがあります。
例えば、上司とのコミュニケーション、担当業務の広げ方、社内での役割の取り方、他部署との関係構築、自身のスキル不足などは、自分の働きかけによって改善できる余地があるかもしれません。
一方で、経営方針、事業そのものの方向性、組織構造、会社全体の評価制度、報酬レンジ、事業撤退や組織縮小などは、一個人の努力だけでは変えることが難しい場合があります。
重要なのは、不満を感じた瞬間に転職を選択するのではなく、「この課題に対して、自分はできることをやり切ったか」を一度考えることです。
まだ現職で改善できる余地があるのであれば、そこで成果を出すことが次のキャリアにつながるケースもあります。一方で、自分では変えられない構造的な課題が大きく、その環境に留まり続けることで自身の成長機会が失われているのであれば、新しい環境へ移ることも合理的な選択です。
2. 転職を決める前に、現職で建設的な対話をする
転職を考え始めたときこそ、上司や経営陣、関係者との対話は重要です。
例えば、「今後このような役割を担いたい」「この経験を積みたい」「この働き方について相談したい」「この課題が解消されれば、引き続きこの会社で頑張りたい」といった自分の考えを、できるだけ具体的に伝えてみることです。
この対話を通じて、自分が抱えていた問題が解決することもあります。反対に、「会社としてその役割は用意できない」「今後も方針は変わらない」「期待するキャリアとの間に大きなギャップがある」ということが明確になる場合もあります。
いずれにしても、話し合うことで判断材料は増えます。大切なのは、感情的に会社への不満をぶつけることではなく、「自分は何を大切にしていて、何が変われば現職に残れるのか」を整理したうえで、建設的に対話することです。
3. 「譲れる条件」と「譲れない条件」を整理する
転職か現職ステイかを判断するときには、自分自身の意思決定軸を明確にしておく必要があります。
年収、仕事内容、役職、裁量、働き方、企業の成長性、経営陣との距離、得られる経験、家族との時間、今後のキャリアの広がりなど、判断材料は多岐にわたります。
すべての条件を同時に満たす企業は、ほとんどありません。そのため、「これは絶対に譲れない」「これは条件次第で譲れる」「これはあれば嬉しい」と優先順位をつけておくことが重要です。
この整理ができていないと、転職活動を始めても企業ごとに判断軸が変わってしまい、最終的な意思決定が難しくなります。
4. 何度も転職活動をして、毎回現職に残るなら、転職自体をやめてもよい
ここは、キャリアを考えるうえで非常に重要なポイントです。
これまで何度も転職活動を行い、面接や最終選考、場合によっては内定まで進んだにもかかわらず、毎回最終的に現職へ残るという方もいます。一度や二度であれば珍しいことではありませんが、それを何度も繰り返しているのであれば、現時点では、現職を辞めない方がよい可能性があります。
転職しないという意思決定を何度もしているということは、少なくとも今の会社に、報酬、人間関係、仕事内容、働き方、安心感、キャリア上のメリットなど、何らかの理由で「残る価値」を感じているということでもあります。
その状態で慢性的に転職活動を続けてしまうと、「もっと良い会社があるのではないか」という意識が常に頭の片隅に残り、目の前の仕事への集中力を失ってしまうことがあります。
そのため、何度検討しても結論が「残る」なのであれば、一度、「今は転職しない」と明確に決めることも重要です。
5. 「転職しない」と決めたら、現職にもう一度コミットする
現職ステイを選ぶのであれば、転職活動を続けながら働くのではなく、一定期間は現職で成果を出すことに集中するという考え方もあります。
例えば、「今後1年間はこの会社でこの役割をやり切る」「このプロジェクトを成功させてから次を考える」「マネジメント経験を積むところまでやる」など、自分なりの区切りを決めることです。
すると、単に「転職しなかった」のではなく、「この経験を取りにいくために、意図的に現職へ残った」というキャリアになります。
現職に残ることも、目的を持って選択すれば立派なキャリア戦略です。
6. 一方で、「ずっと迷っていること」自体が転職のサインになることもある
ただし、何度も転職を考えるということは、それだけ現職に何らかの違和感を感じ続けているとも考えられます。
毎年同じ理由で転職を考えている、会社と話し合っても状況が変わらない、やりたい役割が何年経っても得られない、事業や経営方針への違和感が強くなっている、といった場合です。
この状態であれば、「なぜ毎回転職を考えるのか」を一度深掘りした方がよいでしょう。
転職活動をやめるべきなのではなく、これまで意思決定できなかった原因を整理する必要があります。現職への不満が曖昧なのか、転職先への条件が高すぎるのか、リスクを取ることへの不安が強いのか、そもそも自分が次に何を求めているのか分からないのか。原因によって、取るべき行動は変わります。
7. 転職理由は「他責」ではなく、構造化して説明できる状態にする
現職に残るにしても、転職するにしても、自分の課題を整理しておくことはその後のキャリアに役立ちます。
特に転職面接では、「なぜ転職するのですか」という質問は必ずと言っていいほど聞かれます。
その際、「上司が悪かった」「会社が評価してくれなかった」「やりたいことをさせてもらえなかった」だけでは、他責的に受け取られる可能性があります。
一方で、「自分自身で改善できる部分については、このような働きかけを行った。その結果、一定の改善はあった。ただし、この部分は会社の構造上変えることが難しく、今後この経験を積むためには環境を変える必要があると判断した」と説明できれば、転職理由としての納得感は大きく変わります。
つまり、自分で変えられることには向き合った。そのうえで、環境を変える必要があると判断した。という状態をつくることが重要です。
8. バックオフィス(管理部門)の転職では「現職でやり切ったか」が特に見られる
S hireが主にご支援している経理・財務・人事・法務・総務・経営企画などのバックオフィス(管理部門)職では、転職理由とこれまでの役割のつながりが特に重要になります。
例えば、「経理として決算業務は経験できたが、管理会計や経営管理まで役割を広げたい」「人事として採用だけでなく、評価制度や組織開発を経験したい」「法務として契約実務に加えて、ガバナンスやM&Aにも関わりたい」といった転職理由であれば、「その役割を現職で担う可能性は本当にないのか」を一度確認しておくことをおすすめします。
もし現職で実現できるのであれば、必ずしも転職する必要はありません。一方で、会社のフェーズや組織構造上、その経験を得られる可能性がほとんどないのであれば、環境を変えることでキャリアを前に進めることができます。
重要なのは、転職そのものを目的にするのではなく、「次に得たい経験を獲得するために、環境を変える必要があるか」という視点です。
9. 「転職すること」も「残ること」も、どちらも手段
転職活動をしていると、いつの間にか「転職すること」そのものが目的になってしまうことがあります。しかし、本来の目的はキャリアをより良くすることです。
現職で目的を達成できるのであれば、残ることが正解です。新しい環境へ移らなければ得られない経験があるのであれば、転職することが正解です。
つまり、転職も現職ステイも、キャリアをつくるための手段に過ぎません。
大切なのは、その意思決定によって「数年後の自分に何が残るのか」を考えることです。
まとめ
「転職するか、現職に残るか」を判断する際には、まず現在抱えている課題を整理することが重要です。自分で変えられる課題なのか。それとも、自分では変えにくい環境要因なのか。
そのうえで、現職でできることをやり切り、上司や関係者とも建設的に対話する。それでも、自分が求める経験や環境を得られないのであれば、転職を選ぶ意味があります。
一方で、何度も転職活動を行いながら、最終的には毎回現職へ残っているのであれば、一度「今は転職しない」と決め、目の前の仕事に集中することも重要です。
そして最も大切なのは、「転職するか、残るか」ではなく、「どちらを選ぶことが、自分のキャリアを前に進めるのか」という視点です。
S hireでは、転職ありきでキャリアをご提案するのではなく、現在の環境や課題、今後得たい経験を整理したうえで、場合によっては「今は現職に残った方がよい」という選択肢も含めて、中長期的なキャリアの意思決定をサポートしています。

Back to Index
