スタートアップ×コーポレート転職Playbook
スタートアップ×コーポレート転職
Playbook
スタートアップ・ベンチャー転職の魅力(2026年7月更新)
2025.07.22
スタートアップ・ベンチャー企業への転職が、すべての人にとって最適な選択肢とは限りません。
一方で、これまで多くの転職支援を行うなかで、スタートアップならではの環境に大きな魅力を感じ、そこで働くことを楽しんでいる方も数多く見てきました。
スタートアップで働く主な魅力としては、事業づくりに直接関われること、短期間で多くの経験を積めること、そして会社の成長とともに自身の役割を広げていけることが挙げられます。
もちろん、組織や制度が未整備であったり、事業環境の変化が激しかったりと、スタートアップならではの難しさもあります。
そのリスクとリターンを理解したうえで、得られる経験や将来のキャリアに大きな価値を感じるのであれば、チャレンジする価値のある環境だと私たちは考えています。
また、スタートアップを取り巻く環境は常に変化しています。だからこそ、「スタートアップで働くことの魅力」だけでなく、そこでどのような経験を積み、自身のキャリア資産につなげていくのかという視点も重要です。
ここでは、スタートアップで働く代表的な魅力と、2026年現在の環境変化を踏まえたキャリアの考え方について整理します。
1. 事業づくりの手触り感
スタートアップでは、一人ひとりが自身の役割を最大化し、事業の成長や成功に向けて動くことが求められます。
完成された仕組みのなかで決められた業務を遂行するというよりも、自ら課題を見つけ、必要に応じて役割そのものをつくりながら、試行錯誤を繰り返していく場面が多くあります。
一つひとつの改善は小さく見えても、それを積み重ねていくことで、数年後には事業や組織が大きく変化していることも珍しくありません。
その過程に当事者として関わることで、「自分の仕事が、この会社や事業の成長につながっている」という実感を得やすいことは、スタートアップで働く大きな魅力の一つです。
特に社員数の少ないフェーズでは、一人の意思決定や行動が事業に与える影響も大きくなります。経営との距離も近く、自身の仕事と会社の成長とのつながりを感じながら働ける環境といえます。
2. 短期間で多くの経験を積める「スキルのドッグイヤー」
スタートアップでは、事業や組織の変化が速いため、短い期間のなかで多くの課題に向き合うことになります。
組織規模が小さい段階では担当領域も固定されにくく、自身の専門領域に加えて、その周辺領域まで幅広く経験することも少なくありません。
例えば、経理であれば月次決算だけでなく、予算管理や管理会計、監査法人対応、資金調達、IPO準備などへ役割が広がることがあります。
人事であれば、採用だけではなく、評価制度や組織開発、カルチャーづくりまで担当するケースもあります。
こうした環境では、一つの企業にいながら短期間で多くの実践経験を積むことができます。もちろん、経験しただけでスキルになるわけではありません。
試行錯誤を重ね、その経験を振り返り、自分なりの再現性を持てるようになったとき、それは誰にも奪われることのないキャリア資産になります。
将来的に起業を考えている方にとっても、事業や組織が成長していく過程を当事者として経験することは、経営の疑似体験ともいえる貴重な機会になるでしょう。
3. 会社の成長とともに、自身の役割も広げられる
スタートアップでは、会社の成長に合わせて新しい役割が次々と生まれます。
事業や組織の規模が大きくなれば、チームを束ねるマネージャーや部門責任者、さらには経営に近いポジションも必要になります。
そのため、成果を積み重ね、組織から信頼を得ることができれば、比較的短い期間でより大きな裁量や責任を担う機会が生まれることがあります。
例えば、
メンバー採用
育成・評価
チームマネジメント
権限委譲
組織設計
経営会議への参加
部門戦略や予算の策定
など、プレイヤーとして成果を出すだけではなく、組織の生産性を高める役割へとキャリアを広げていくことも可能です。
こうした役割は、単純に年次によって与えられるものではありません。
自身の成果や専門性、周囲からの信頼によって獲得していく機会であることも、スタートアップならではの特徴です。その経験が大きな成果につながれば、その後のキャリアにおいても重要な実績となります。
参考情報
https://coralcap.co/2023/02/what-to-think-about-before-joining-a-startup-2/
4. 2026年、スタートアップで働く魅力はどう変わったのか
<2026年7月追記>
ここ数年、スタートアップを取り巻く環境は大きく変化しています。
以前は、スタートアップの成長ストーリーとして、
資金調達を重ねる → IPO準備を進める → 上場する → 上場後にさらに成長する
という道筋が強く意識されていました。
一方、現在では、すべての企業が早期のIPOを目指すわけではありません。
未上場のまま事業や組織を大きく育て、大型の資金調達を行う企業もあります。
また、IPOだけではなく、M&Aや資本提携、グループインなど、企業の成長や株主の流動性を実現する選択肢も広がっています。
そのため、「IPOできる会社に入ること」だけがスタートアップ転職の魅力ではなくなってきています。
むしろ重要なのは、未整備な成長企業を、次の資本イベントやさらなる事業成長に耐えうる会社へ進化させる経験を得られるかどうかという視点です。
「早く小さく上場する」から、「大きく育つ会社をつくる」へ
東京証券取引所では、グロース市場の上場維持基準の見直しが進められています。
今後は、単に上場することだけでなく、上場後も継続的に成長し、一定以上の企業価値を実現できる会社であることが、これまで以上に求められていきます。
こうした環境変化を踏まえると、スタートアップの成長の考え方も変わりつつあります。
以前のように、小さな組織のまま早期に上場し、その後に成長していくという道だけではなく、未上場の段階から事業・組織・ガバナンスを大きく育て、最適なタイミングでIPOやM&Aなどの資本イベントを選択するという企業も増えていくと考えられます。
言い換えれば、「早く小さく上場する」から、「大きく育つことのできる会社をつくる」へ。スタートアップで得られる経験も、この変化に合わせて変わっています。
5. コーポレート人材にとっての魅力も変化している
特に、S hireが主にご支援している経理・財務・人事・法務・総務・経営企画などのコーポレート人材にとって、この変化は非常に重要です。
スタートアップのコーポレートは、会社の成長を「後ろから支える」だけの存在ではありません。
会社が次のステージへ進むための「経営基盤をつくる」仕事です。
例えば、成長企業では、
経理・財務であれば、正確な決算体制だけでなく、管理会計、資金調達、資本政策、監査対応などが必要になります。
人事であれば、採用だけではなく、評価制度や組織設計、マネジメント体制、カルチャー形成まで求められます。
法務であれば、日々の契約対応だけではなく、ガバナンスや株主対応、M&Aなどへ役割が広がることもあります。
つまり、単なる「バックオフィス業務」を担うのではなく、会社の成長可能性そのものを広げる経営基盤をつくることがコーポレート人材の役割になっていきます。
未上場の成長企業を、将来より大きく成長できる「器」にしていく。
この経験を得られることは、これからのスタートアップ×コーポレートで働く大きな魅力の一つだと考えています。
6. AIを前提とした、新しいコーポレート組織をつくれる
もう一つ、近年ならではの魅力が、AIをはじめとした新しいテクノロジーを前提に業務や組織を設計できることです。
スタートアップでは、既存の業務プロセスやシステムに強く縛られていないケースも多く、新しいツールやAIを比較的スピーディーに取り入れることができます。
これまで人が担っていた定型業務をAIやシステムへ移管し、人はより高度な判断や企画、コミュニケーションに時間を使う。そのような新しいコーポレート組織をゼロから設計できる可能性があります。
単に「AIを使える人材」になるのではなく、AIを前提として、自分たちの仕事そのものを再設計できる人材になることは、これからのキャリアにおいて大きな価値を持つと考えています。
7. スタートアップ転職では「どの経験を得られるか」を見る
スタートアップを選ぶ際に、会社の知名度やIPOの確度、提示された年収だけを見るのでは十分ではありません。
重要なのは、その会社で数年間働いたときに、自分にどのような経験が残るのかという視点です。
例えば、
どのような経営課題に向き合えるのか
どのフェーズの組織づくりを経験できるのか
どの程度の裁量を持てるのか
経営陣とどのような距離で働けるのか
優秀な人材と切磋琢磨できる環境か
数年後、自分にはどのようなスキルや実績が残るのか
といった観点で企業を見ていくことが重要です。
スタートアップは、完成された会社に入るというよりも、これから会社が出来上がっていくプロセスに参加する環境ともいえます。だからこそ、その過程で得られる経験そのものが、大きなキャリア資産になります。
まとめ
スタートアップで働く魅力は、大きな裁量を持てることや、短期間で多くの経験を積めることだけではありません。
自ら課題を見つけ、仕組みをつくり、事業や組織の成長に直接関わることができる。そして会社が成長するにつれて、自身の役割や責任も広げていくことができます。
さらに現在では、スタートアップのEXITもIPO一辺倒ではなくなり、M&Aや資本提携など選択肢が多様化しています。だからこそ、これからのスタートアップで重要になるのは、「IPOに立ち会えるか」ではなく、「大きく育つ会社をつくる経験を得られるか」という視点です。
特にコーポレート人材にとっては、経理・財務・人事・法務・総務・経営企画など、それぞれの専門性を活かしながら、会社が次のステージへ進むための経営基盤をつくることが求められます。
スタートアップへの転職を検討する際には、目先の条件だけでなく、
「この会社で得られる経験は、数年後の自分にどのような資産として残るのか」
という視点を持つことをおすすめします。
S hireでは、企業の成長フェーズやポジションの役割、今後得られる経験まで含めて整理しながら、中長期のキャリアを見据えた転職の意思決定をサポートしています。

Back to Index
